コロナ対策は、ダイエットより「速歩き」?
本研究は「UKバイオバンク」に登録する中高年層のボランティア41万2596名を対象としました。
UKバイオバンクは、遺伝子や環境因子(生活習慣や薬物療法など)が健康に与える影響を調査する、イギリスの長期大規模研究です。
2006年から開始された調査には、国内の中高年(40〜69歳)約50万人が参加し、最低で30年間の追跡を予定しています。
今回は、参加者のBMI(ボディマス指数)および歩行速度と、COVID-19の重症化、死亡リスクとの関連性を分析しました。
全体の歩行速度は平均4.8キロであり、それ以下を「低速歩行者」、それ以上を「高速歩行者(速い人だと6.4キロ)」と定義しています。
分析の結果、正常BMIの低速歩行者は、同体重の高速歩行者に比べて、COVID-19の重症化リスクが約2.5倍、死亡率は約3.75倍高くなると判明しました。
最も重要は発見は、正常体重の低速歩行者より、肥満の高速歩行者の方が重症化・死亡率が低いということでした。
加えて、正常体重と肥満に関係なく、歩くのが遅い人は一貫して重症化・死亡率が高くなっています。
研究主任のトム・イェーツ氏(レスター大学)は「肥満や虚弱体質が、コロナ患者の症状を重症化させる因子であることは以前から指摘されていました。
しかし、低速歩行が体重に関係なく、コロナの重症化・死亡リスクを高めることが示されたのは初めてです」と話します。
歩行速度が症状の悪化とどう関係しているのかはまだ不明ですが、チームは「高速歩行者は一般に、心血管および心肺機能が非常に良好なため、ウイルス感染のような外的ストレス因子への抵抗力が強いのではないか」と推測します。
反対に、歩くのが遅かったり、あまり運動をしない人は、ウイルスへの抵抗力が弱まっていると見られます。
イェーツ氏は「大規模な日常的データベース研究の大半は、肥満や体質に焦点を当てており、歩行速度などの身体機能にはあまり目を向けていません。
パンげミックが世界の医療サービスにかつてない負担をかけ続ける中で、歩行速度は、最もリスクの高い個人を特定し、保護するための有効な予測因子となるでしょう」と述べています。
私たちもコロナ対策の一環として、速歩きを心がけるのが得策かもしれません。