退屈と注意散漫は就寝時間の先延ばしと睡眠の質の低下を起こすと判明
近年、特に若い成人の間で「就寝時間の先延ばし」現象が生じていることがわかってきました。
多くの人々が、興奮して眠れないわけでもないのに、むしろ何も予定がないにもかかわらず、望んだ時間に眠ることができないようです。
安穏として生きることは動物にとって快楽であり、望むべき姿の1つですが、どうやら人間の体にとっては違うかもしれません。
そこで今回、シンガポールのジェームズクック大学の研究者たちは、むしろ「退屈」や「注意散漫」こそが人の眠りを妨げているのではないかと考えました。
仮説を証明するにあたっては270人の被験者を対象に、起きている時の「退屈」と「注意散漫」の度合いを記録し「就寝時間の先延ばし」現象が、その後に起きていたかどうかを調べました。
結果、起きている間の「退屈」と「注意散漫」な状態が、「就寝時間の先延ばし」現象の発生と強く関連していることを発見します。
さらに統計的な分析により、起きている間の「退屈」や「注意散漫」な状態は、睡眠の質を低下させ、体に対して慢性的なストレスになることも発見されました。
この結果は、脳の報酬系(快楽を感じる回路)の刺激や意識の活性化が行われないと、人間の体は睡眠に対する拒否感を覚えると共に睡眠の質の低下を起こし、あたかもペナルティーのように、人間を苦しませることを示します。