脳の異常が小児イビキの原因だった?
研究チームは、アメリカ国立薬物乱用研究所(NIDA)および国立衛生研究所(NIH)の協力のもと、9~10歳の子ども1万人以上のMRI画像を調査。
本データは、子どもの脳発達と健康に関する同国最大の長期研究「ABCDスタディ(思春期脳認知発達研究)」に登録されたものを対象としています。
分析の結果、週に3回以上イビキをかく子ども(親の報告にもとづく)は、前頭葉のいくつかの領域で灰白質(かいはくしつ)が薄くなっていることが判明しました。
前頭葉の灰白質は、感情や衝動性のコントロール、高度な推論能力を司る場所です。
さらに、この子どもたちは、日常生活での不注意、多動性、攻撃性の傾向が高まっており、灰白質の縮小の影響が見られました。
研究主任のアマル・イザイア氏は「今回の研究は、子どものイビキと脳との関連性を調べたものとしては最大規模です。
こうした脳の変化は、ADHD(注意欠如・多動性障害)をもつ子どもに見られるものと似ており、彼らにも認知機能の低下や、衝動的・攻撃的な行動が見られる」と話します。
アメリカでは現在、約10%の子どもがイビキを含む何らかの睡眠障害を患っています。
小児のイビキの原因として最も多いのは扁桃肥大であり、鼻や口奥の扁桃が大きくなることで、食べ物が飲み込みにくくなったり、イビキによる睡眠時無呼吸などの症状を引き起こします。
治療法としては、肥大した扁桃の切除手術が主流です。
イザイア氏は「もし子どもが週に2回以上イビキをかくようであれば、診断の必要がある」と指摘。
「本研究により、イビキが扁桃肥大とは別に、脳の変化を原因とする可能性も浮上したため、より正確な診断が行えるでしょう。
脳には自己修復能力があることが分かっており、特に小児の場合は、早期に脳の異常を認識することで適切な対処をし、脳の縮小を抑えられるかもしれない」と述べています。
もしお子さんがイビキをかいていて、かつ注意欠陥や多動性が見られるなら注意が必要です。