現代人が抱えるメンタルヘルスの問題
メンタルヘルスに関する問題は、オーストラリアだけでなく世界中で深刻化しています。
日本でも、ストレスやうつ症状などに悩む人の問題は連日とりざたされています。
オーストラリアの調査では、約2人に1人という高い割合の人が、一生に一度はメンタルヘルスに関する問題を経験するといわれていて、世界でも10人に1人が精神疾患を抱えているとされています。
「多少のストレスは社会生活において正常と考えられますが、長期的なストレスにさらされると、メンタルヘルスに大きな影響を与える可能性があります。
長期的に管理されていないストレスは、心臓病、糖尿病、うつ病、不安神経症など、さまざまな健康上の問題を引き起こす可能性があるため、精神的な問題と軽く見るべきではありません。
将来的に、メンタルヘルスの問題を予防や軽減させる方法は、見つけておく必要があります」
研究者のバガティーニ博士は、そのように述べています。
健康的な食生活の利点はよく語られていますが、実際果物や野菜を十分な量、毎日食べている人というのはほとんどいないのが現状です。
若年層の野菜・果物不足とストレスの関連しを調査した研究は、これまでにもありました。
しかし、今回のような全年齢層で調査を行い、同様の結果が得られたのは初めてのことです。
野菜や果物の摂取がストレスに影響を与えるメカニズムは、まだ明らかになっていませんが、バガティーニ博士はこれについてある程度の推測はできると述べています。
体の細胞は活性酸素による酸化ストレスや炎症などの被害に日々さらされています。
これはストレスや不安感の増大、気分の低下につながる要因として認識されています。
野菜や果物には、ビタミン、ミネラル、フラボノイド、カロテノイドなどの重要な栄養素が含まれており、これらは炎症や酸化ストレスを抑える働きがあります。
これが結果的に、精神的な健康状態の改善につながっていると考えられるのです。
今回の研究で得られた知見は、今後どういった栄養素が、具体的にメンタルヘルスに効果的であるかを示す研究にも役立っていくだろうと研究者は述べています。
食生活を見直すことは、体だけでなく心の健康においても重要なことのようです。