「分泌液の厚み」の測定に初成功!
こちらは、ガラス板上のテントウムシと、脚裏に生えた剛毛の先端の形を写したものです。
剛毛の形には、尖形や円盤形(オスのみ)、披針形やヘラ形があります。
ガラスへの接着原理は、先述したように、剛毛による「分子間力」と分泌液による「表面張力」が考えられます。
しかし、これまで分泌液の量は測定されておらず、どちらが接着の主因になっているのか判断がつきませんでした。
そこで研究チームは今回、脚裏とガラス板の間にある「分泌液層の厚み」を初めて測定しました。
まず、ガラス板の表面を直径10〜20ナノメートルの金パラジウム(AuPd)粒子で覆い、そこにテントウムシが脚を置いた状態で分泌液を瞬時に凍結します。
それから、テントウムシの脚を除いた表面を顕微鏡で観察し、AuPd粒子が分泌液中にどれだけ埋もれているかを見ました。
その結果、分泌液層からAuPd粒子が飛び出している様子が確認され(下図a)、層の厚みは10〜20ナノメートル以下であることが判明しています。
研究チームによると、これは「長距離での分子間力が作用する範囲である」とのことです。
分子間力は普通、数ナノメートルほどの短距離で働きますが、高分子の場合には十数ナノメートルの長距離でも作用します。
これで分子間力が有力となりましたが、そこで次に、分子間力が主要な接着原理であることを確かめるための実験を行いました。