ロマネスコのフラクタルは偽の開花の「記憶」と成長速度が原因だった
遺伝子操作されたのはシロイヌナズナという白い花びらをもつ植物です。
外見はロマネスコと全く似ていませんが、遺伝子を改変することでロマネスコに似た形状になります。
具体的にはAP1/CALという遺伝子を変異させることで、シロイヌナズナをフラクタル化させることに成功しました。
研究よると、通常の植物はつぼみが開花したときに開花した「記憶」のような情報をもちます。
ところがロマネスコにある特殊な遺伝子は、つぼみの段階で偽の「開花状態の記憶」を与えるようです。
この偽の記憶は成長プロセスにいわばバグを引き起こし、つぼみを開花させるのではなく、別のつぼみを生み出そうとします。
新しく生まれたつぼみにもこの偽の「記憶」が備わっているため、延々と同じプロセスが繰り返えされることに。
つまり偽りの「記憶」がつぼみを無限増殖させるのです。
さらに、他のカリフラワーの芽の成長速度が一定であるのに対し、ロマネスコの芽の成長速度はとても速いと判明。
この成長加速と偽の「記憶」によるつぼみの無限増殖がフラクタルを生み出していました。
研究チームは、「フラクタル化の秘密がすべて解明されたわけではない」と述べており、さらなる研究の必要性を強調しています。
しかし将来的には、遺伝子操作によって他のいろんな植物をフラクタル化させることも可能かもしれませんね。
※この記事は2021年7月公開のものを再掲載しています。