磁気ヘルメットが脳腫瘍を縮小させる
開発された磁気ヘルメットには、回転する3つの強力な永久磁石が備わっており、振動磁場を生成します。
この磁場が、細胞を動かすために必要な電子伝達を妨害するため、ターゲットとなった細胞は死滅します。
しかもチームによると、この反応は腫瘍細胞が生産する特定化合物の存在下でのみ起こるため、健全な細胞は無傷のまま、膠芽腫細胞のみを死滅させられるとのこと。
実際、マウスに移植したヒト膠芽腫細胞に対しても体積や質量の減少が確認されていました。
そして今回初めて、磁気ヘルメットを使った人間の膠芽腫治療が実施されました。
53歳の患者は3日間病院で治療を受けた後、自宅でも続けました。
1日2時間のセッションから始めて、6時間に増やしていったとのこと。
治療を合計36日間続けたところ、膠芽腫のサイズが31%縮小し、患者の言語・認知機能も改善しました。
ところがその後、患者が自宅で転倒して頭を負傷したため、治療プログラムは中止。
またこの負傷が原因で患者は亡くなってしまいました。
思いがけず悲惨な結果になってしまったものの、磁気ヘルメットの有効性を示すことはできたようです。
バスキン氏は、「この患者と彼の家族の勇気のおかげで、世界で初めて膠芽腫の非侵襲的治療の有効性を検証することができました」と述べています。
この結果は、放射線療法や化学療法なしで脳腫瘍を治療できる可能性を示しています。
将来、脳腫瘍があっても手術をせず、ヘルメットをかぶるだけの治療が可能になるかもしれませんね。