数学ができる人には特定のパターンがあった
結果、年齢によって2つの異なるプロセスがあることが発見されました。
まず、小学生など若い参加者の場合、左頭頂間溝(IPS)と呼ばれる脳の部分で、高いGABAレベルが確認された場合、数学の成績が高くなることがわかりました。
そして注目すべきは、同じ年代の子どもたちで、このIPSのグルタミン酸レベルが低いと、数学の成績が低下していたということです。
そして、大学生では子どもたちとは逆の結果が現れました。
大学生は、IPSのグルタミン酸レベルが高いほど数学の能力が高く、一方、IPSのGABAレベルが低いと、数学の能力が低下していたのです。
先に述べたように、GABAは抑制を、グルタミン酸は興奮を司っています。
小学生は神経細胞が興奮するほど数学の成績が下がり、抑制されるほど成績が向上していました。
逆に大学生は神経細胞が興奮するほど数学の成績が上がり、抑制されると成績が下がっていたのです。
これは年齢による脳の発達段階によって、神経伝達物質が異なる作用を学習と認知の能力に及ぼしていたことを示しています。
この原因を特定するにはまだ調査が必要ですが、カドシュ氏は次のような仮説を立てています。
「多くの学習や変化を経験する発達に敏感な若い頃には、脳は抑制されることで成績に良い影響を及ぼしている可能性があります。
逆に年齢が高くなると、他の既存の知識と関連付ける必要が出てくるため、脳は活性された方が成績に良い影響を及ぼしているかもしれません」