視覚野は視覚情報の処理を覚えている

今回の研究では、約半年間に渡って、被験者にデバイスを装着してもらい実験を行いました。
研究者は、パックマンの簡略化されたバージョンのゲームを作成したり、単純な映像などを被験者に見てもらうなど、デバイスに慣れるための映像認識のトレーニングを行いました。
すると、被験者は時間の経過とともに、徐々に映像のパターンを認識しやすくなっていきました。
被験者は16年以上視力を失っていましたが、そうした長い全盲の期間を経てもなお、脳の視覚野は視覚情報を処理する方法を覚えており、またデバイスによる刺激に適応していっていることが示されたのです。

安全で取り外すことも可能なデバイスであれば、脳への刺激による方法も悪くないと思えます。
ただ、これはまだ実験段階のものに過ぎず、解決すべき課題はまだ多く残されています。
研究者のエドゥアルド・フェルナンデス教授は「非常に有望な技術であることは確かですが、誤った期待を生み出してはならない」と付け加えています。
現状ではこの技術は簡単なパターンを認識できるだけに過ぎません。
研究チームは今後、電極数を増やしてより複雑な映像認識を可能になるよう研究を進めていくといいます。