宇宙の農業はどうなるのか?
民間のロケット打ち上げや、宇宙旅行の計画など、宇宙開発の話はだいぶ身近で、大きく前進してきた印象があります。
各国の宇宙開発でも、月や火星へ人間を送り込む計画は前向きに進められています。
しかし、地球から遠く離れた宇宙の遠隔地へヒトが行くことを本格的に考えた場合、常に地球からの補給に頼って食料を確保するというのは現実的とはいえません。
そのため、宇宙で食糧生産する方法がいろいろと研究されています。
将来的に月面に農場を作るということを考えた場合、その栽培システムには病害虫の防止処置や、地球から輸送する際の積載重量などが課題になってきます。
そこで、JAXAは2017年から宇宙での利用を想定した、袋型培養槽技術というものの研究を、企業・大学と共同で行ってきました。
袋型培養槽技術というのは、密閉した小型の袋の中で植物を栽培するというものです。
この方法は、雑菌など混入を防ぎつつ、臭気の発生もない、軽くて小さいシステムが実現できます。
また、設備が簡易でメンテナンスしやすいことや、省エネルギー性があり、利用人数に合わせて数量の調節も簡単と、宇宙での利用を想定した場合のさまざまな利点があります。
研究ではこの栽培方法が、宇宙空間の微小重力環境や閉鎖環境でどの程度有効性があるか、また水耕栽培や土耕栽培と比べて優位性があるかを実際宇宙に持ち込んで調査しました。