性器が抜けないようメスに噛み付く
サメの性生活は気の弱い人向けの世界ではありません。
魚類の多くは、哺乳類などとは異なりメスの生んだ卵にオスが精子をかけることで性行為が成立します。
しかし、サメの多くは胎生で体内に子供を宿しある程度育ってから産み落とします。
そのためサメは哺乳類のように、オスが自らの性器をメスに挿入するのですが、彼らは常に水中を泳いでいるので、気を抜くと性器の方も簡単に抜けてしまいます。
そこでオスはメスの体を固定しておくため、相手にがっつり噛みついてホールドしておくことが以前から知られていました。
こちらは豪州に拠点を置くウルフロックダイブセンター(Wolf Rock Dive Centre)によって撮影された実際の貴重な映像です。
ただ野生下でこのような光景が観察されるのは極めて稀であり、過去の科学文献を調べても、交尾中のサメの噛みつきを捉えた研究はほとんどありません。
そのせいか、サメの性生活はいまだに多くが謎に包まれたままなのです。
一方、デラウェア大学の海洋生物学者ジェニファー・ワイフェルス(Jennifer Wyffels)氏は、カナダ海洋科学センターのリプリー水族館でシロワニの交尾行動を観察し、オスがメスに激しく噛みついて重傷を負わせる事例を目撃しました。
シロワニ(学名:Carcharias taurus)はネズミザメ目の一種であり、世界中の暖かい海に生息し、最大全長3.2メートルにまで成長します。
そこでワイフェルス氏ら研究チームは、米国東岸ノースカロライナ沖に分布するシロワニを対象に性生活の実態を調査することにしました。
その結果、過激すぎるシロワニの交尾の実態が明らかになったのです。