親の不安が育児に与える影響とは?
親が「心配性」になるのは仕方のないことです。
現代は、治安、進学、就職など、あらゆる競争と不確実性に満ちています。
その中で、「わが子が失敗しないように」と願うのは、ある意味当然の行動とも言えます。
しかし問題は、この「不安」が親の行動にどう表れるかです。
時に不安は、お世話の域を超えて、子どもをコントロールするよう促します。
これは子どもにとって辛いことです。
これから、様々な年齢の子供たちに対して、親の不安がどのように悪影響を及ぼすか見ていきましょう。
ケース①:マヤ(4歳)──「登っちゃダメ!」で萎縮する探究心

マヤの母・リサは、娘を思うあまり、いつも公園や子供向け遊具で口を出します。
「危ないよ!」「そこ登っちゃだめ!」「気をつけて!」
確かに、転んだり、ぶつけたりすれば危険です。
でもリサのように、子どもが何かをするたびに否定や警告を繰り返してしまうと、子どもは「挑戦」そのものを避けるようになります。
バーンスタイン博士は、「このような干渉は、子どもの好奇心を萎縮させ、結果的に“自分には無理かもしれない”という自己イメージを形成する」と指摘しています。
代わりに、「そばで見守ってるよ」「困ったら言ってね」といった信頼ベースの声かけをすれば、子どもは安心してチャレンジできます。
つまり、危険を防ぎたい気持ちは大切ですが、それを“監視”で表現してしまうと、子どもの自立心を押しつぶすことになるのです。
ケース②:ジョーダン(10歳)──「習い事づくし」で奪われた自由
ジョーダンは毎日多忙です。放課後はチェス、数学塾、水泳と、1分も無駄にしないスケジュールがびっしり。
親はこうした活動を「将来の成功につながる経験」と考え、善意で与えています。
しかし、そこには「この子が自由にしていたら損をするかも」という強い不安と焦燥感があるのです。
結果、ジョーダンは自分の時間を持てず、「何が好きか」「何をしたいか」を感じる力を失ってしまいます。
自由な遊びや無目的な時間は、創造性や自立心、内省力を育むのに不可欠な要素です。
バーンスタイン博士も、「予定を詰めすぎた子どもは反抗的・無気力になりやすい」と指摘しています。
成功への道を敷くつもりが、自己決定力を削ぎ、反発する心を育ててしまうのです。