女性が「犯罪ドキュメンタリー」の最大のファンである理由を解明
女性が「犯罪ドキュメンタリー」の最大のファンである理由を解明 / Credit:Canva
psychology

女性が「犯罪ドキュメンタリー」の最大のファンである理由を解明

2025.12.16 20:00:07 Tuesday

オーストリアのグラーツ大学(Uni Graz)で行われた研究によって女性のほうが男性より、犯罪ドキュメンタリーの視聴量(消費頻度)が高いことが確かめられました。

この女性優位はテレビ番組、映画、ニュース、本、ポッドキャストといった多くの形式の犯罪ドキュメンタリーで一貫しており、特にポッドキャスト(音声番組)では差が大きかったとされています。

研究ではその理由についても調べられており危険に備えるための情報集めといった実用的なものだけではなく「危ない人の心の動き」を読み解きたい好奇心や「スリル」が、視聴と関連している可能性が示されたのです。

研究内容の詳細は2025年10月7日に『British Journal of Psychology』にて発表されました。

True crime: psychologist identifies reasons for the fascination of the genre https://www.uni-graz.at/en/news/true-crime-psychologist-identifies-reasons-for-the-fascination-of-the-genre/
Out of the dark – Psychological perspectives on people’s fascination with true crime https://doi.org/10.1111/bjop.70038

生々しい犯罪を見たいと思う心理

生々しい犯罪を見る心理
生々しい犯罪を見る心理 / Credit:Canva

人間とは不思議なもので、本来なら目を背けたくなる映像に引き寄せられることがあります。

例えば殺人事件のドキュメンタリーや事故のニュース、ホラー動画など、心臓が凍るような場面なのに目が離せない――そんな経験はないでしょうか。

心理学では、こうした行動を「morbid curiosity(暗い好奇心=死や暴力などの情報を知りたくなる気持ち)」と呼ぶことがあります。

その中でも犯罪ドキュメンタリーは毛色がかなり特別です。

犯罪ドキュメンタリーは殺人、冤罪(えんざい)、失踪、詐欺、政治スキャンダルまで、現実に起きた「人間が人間に向ける危険」を幅広く扱います。

しかし過去に行われた調査で、生々しい犯罪ドキュメンタリーの消費者は女性が多く、ある調査では70〜93%が女性であるとの報告もなされました。

よく聞く説では「犯罪ものをよく観る人は、刺激が好きで、暴力が好きで、心が荒れている」というものがありますが、問題はそこまで簡単ではありません。

実際、男性よりも女性のほうが単純に「暴力が好きで、心が荒れていて、刺激が好き」という結果を示した心理学研究は存在しません。

では、なぜ女性のほうが犯罪ドキュメンタリーを好むのでしょうか?

犯罪ドキュメンタリーは、ホラーというより「危険の教科書つきドラマ」なのかもしれないのでしょうか?

次ページなぜ女性はリアルな犯罪を描く「犯罪ドキュメンタリー」が好きなのか?

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

心理学のニュースpsychology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!