画像
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
society

追い抜いたはずのノロい車に追いつかれる「ヴォーヒーズの法則」を提唱

2026.04.09 21:00:30 Thursday

前を走る遅い車をようやく追い越し、スッキリした気分で走り出したはずなのに、次の赤信号でバックミラーを見ると、その車がすぐ後ろにいる。

そんな経験はないでしょうか。

この不思議な現象に対し、アイルランド・ダブリンシティ大学(DCU)の数学者コナー・ボランド(Conor S. Boland)氏は、数学的に説明を与え、「ヴォーヒーズの法則(Voorhees law of traffic)」と名付けました。

この名前の由来は、ホラー映画『13日の金曜日』に登場する殺人鬼ジェイソン・ヴォーヒーズです。

ジェイソンはゆっくり歩いているだけなのに、なぜか全力で逃げる犠牲者に必ず追いつく存在として知られています。

ボランド氏は、この奇妙な“追いつき現象”が、道路上でも起きていると考えたのです。

では本当に、遅い車は追いついてくるのでしょうか。

研究の詳細は2026年4月1日付で科学誌『Royal Society Open Science』に掲載されました。

‘Voorhees law’ explains why the slower car often catches up https://phys.org/news/2026-04-voorhees-law-slower-car.html The Voorhees law of traffic: when overtaken slow cars seem to always catch up at a red light https://www.theguardian.com/technology/2026/apr/01/traffic-overtaking-slow-cars-catch-up-red-light-driving-research
The Voorhees law of traffic: a stochastic model explaining why the car you passed always returns https://doi.org/10.1098/rsos.260310

信号が生み出す「追いつき現象」の正体

この研究の特徴は、複雑な交通全体ではなく、「2台の車」と「1つの信号」に問題を絞った点にあります。

通常、速い車と遅い車が同じ道を進めば、時間とともに距離は広がるはずです。

しかし現実の道路では、信号という“外部要因”が介在します。

ボランド氏は、信号のタイミングを「ランダムに遭遇するもの」として扱いました。

つまり、追い越したドライバーが信号に到達する瞬間が、赤・青のどのタイミングに当たるかは予測できないと仮定したのです。

このとき、2台の車の間隔には4つの変化が起こり得ます。

距離が広がる、変わらない、縮まる、そして完全に失われる(追いつかれる)です。

これらの確率をすべて考慮すると、興味深い結果が導かれました。

平均的には、信号前後で車間距離の増減はちょうど打ち消し合い、結果として「差は変わらない」のです。

つまり物理的には、「追い越したのに追いつかれる」という現象は特別なものではなく、単なる確率的な揺らぎの一部にすぎません。

要するに、確実に起こるものではありませんし、絶対に起こらないものでもありませんでした。

次ページなぜ「必ず追いつかれた」と感じるのか?

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

ゲーム

1位

2位

3位

4位

5位

社会のニュースsociety news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!