段取りよくこなす能力「実行機能」が発達しないとどうなる?

人間には「実行機能」と呼ばれる思考や行動を制御する認知システムが備わっています。
これは簡単に言うと「物事を段取りよくこなす能力」のことであり、主に児童期から思春期にかけて発達し、成人期にはピークに達します。
小さい子供が新しい習慣やルールにすぐに順応できないのは、実行機能がまだ発達段階であり、新しくやるべきことを失念したり、順序だって行動に移したりできないからです。
ちなみに、ASDやADHDなどの発達障害を抱えている人も、実行機能が発達しておらず、物事を段取りよくこなせません。
1つのことに集中しすぎて時間をかけすぎたり、次のことを考えながら作業できなかったりするのです。
また注意散漫で今集中すべきことを行えず、次々と他のことをやり始めるケースもあるでしょう。
そして発達障害でないとしても、人によって実行機能の発達が弱い場合があります。
もしかしたら実行機能が大きく発達する時期、つまり幼児期や児童期に何か原因があるのかもしれません。
そこで研究チームは、子供の実行機能の発達と家庭環境にどのような関係があるか調べることにしました。
複雑な家庭環境は子供の実行機能の発達を弱くする
研究には128人の子供とその母親が参加。
子供は平均5歳であり、母親のほとんど(88%)は結婚もしくは事実婚の状態にありました。
そして2時間の家庭訪問によって、子供の実行機能と家庭環境が調査されました。

得られた情報を分析した結果、母親が子供の感情的・身体的なニーズに敏感である家庭は、子供の実行機能が高いと判明。
逆に家庭が複雑で無秩序な状態にあると、母親は子供に関心を示しにくくなり、子供の実行機能も低下すると分かりました。
引っ越しが多かったり、離婚・再婚、母親自身の抑うつ症状があったりすると、母親は子供に向けるべきエネルギーを失います。
これにより子供とのポジティブな相互関係が失われ、結果として子供の実行機能は発達しにくくなるようです。
そのため家庭が不安定だと、子供にも直接影響が及びます。
子供は自分が無力だと感じたり引きこもったりすることが多くなり、実行機能を育てるために必要なかかわりを避けるようになるのです。
さて今回の研究では、「段取りよくこなす能力」の発達には、いくらか家庭環境が関係していると分かりました。
子供の健やかな成長を願う親は、快適な家庭環境を整えることにも力を傾けてあげるべきなのです。




















