ガッカリにあらず。ガーネットの種類はありすぎる!
さて、誕生石のラインナップを見ると、「1月だけ追加もなく、ガーネット1つだけ…」と嘆く声が聞かれます。
でも、がっかりする必要はありません。ガーネットの種類はとても多いんです。たんにカラーバリエーションが違うというレベルではなく、化学組成の違いでの分類に加えて、宝石として個別に名前を持つものも多数。
ガーネットは、大きく赤色系の「パイラルスパイト系列」と緑色系の「ウグランダイト系列」に分けられ、さらにそこから細分化されます。
【赤色系】パイラルスパイト系列
パイロープガーネット
主に鉄とアルミニウムを含みます。一般的にガーネットと聞くとイメージされるのがこれ。深い赤色で、小さめの結晶が多く、まさにザクロ石。
アルマディンガーネット
主にマグネシウムとアルミニウムを含みます。パイロープガーネットよりも、赤茶やピンクが入った色合い。こちらをイメージする人も多いかも。
スペルサルティンガーネット
主に鉄とマンガンを含みます。淡い黄色から、ジューシーなオレンジ色のものがあり、ミカンのような色から「マンダリンガーネット」とも呼ばれます。
ロードライトガーネット(パイロープ+アルマディン)
「パイロープガーネット」と「アルマディンガーネット」が混ざり合ってできた固溶体。紫がかった色をしており、宝飾品で「グレープガーネット」として売られるのもこちら。
マラヤガーネット(パイロープ+スペルサルティン)
1960年代と発見は近年。「パイロープガーネット」と「スペルサルティンガーネット」が混ざり合ってできた固溶体。ワインレッドとピンクを混ぜた「ロゼピンク」色の人気が出てきています。
★カラーチェンジ・ガーネット(マラヤガーネットの仲間)
「ベキリー・ブルー・ガーネット」とも。アレキサンドライトのように太陽光から白熱灯で緑がかった青から赤紫に色が変わり、宝飾品として人気があります。
【緑色系】ウグランダント系列
ウバロバイトガーネット
カルシウムやクロムを含んでいます。鮮やかな緑はクロムに起因。1mm程度の小粒なものが多いそうで、ほとんど宝飾品として加工されません。鉱物コレクター向けでしょう。
グロッシュラーガーネット
カルシウムとアルミニウムを含みますが、入り込む不純物の違いにより、緑やオレンジ、黄色など色が幅広いです。
★グリーン・グロッシュラーガーネット(グロッシュラーガーネットの仲間)
もっともメジャーな濃い緑色のグロッシュラーガーネット。産地にちなんでつけられた流通名、「ツァボライト」のほうが一般的かも。
★ヘソナイトガーネット(グロッシュラーガーネットの仲間)
赤褐色やオレンジと赤が混ざったような色です。スペルサルティンガーネットよりも落ち着いた色合いをしています。
★リューコガーネット(グロッシュラーガーネットの仲間)
無色透明のガーネットです。
★ハイドログロッシュラーガーネット(グロッシュラーガーネットの仲間)
塊状で南アフリカで産出される半透明のガーネット。緑色のものは翡翠に似ていて、「トランスバール・ジェード」とも呼ばれます。
アンドラダイトガーネット
マンガンやチタンを含み、分散光がダイヤモンドよりも強いのが特徴です。宝飾品の場合「アンドラダイト」の名前では流通していません。
★デマントイド・ガーネット(アンドラダイトガーネットの仲間)
デマントイドはダイヤモンドのような、という意味。その名のとおり、鮮やかな緑色と光を強く分散し、非常に人気のある、 最高級のガーネットです。
★トパゾライト・ガーネット(アンドラダイトガーネットの仲間)
黄色版のデマントイドガーネット。黄色いトパーズに由来して名前がつけられました。産出量が少なく、流通も少ないです。
グランダイト(グロッシュラー+アンドラダイト)
日本ではマリガーネットの名前で流通。近年、1994年にマリ共和国にて発見されたことに由来。「アンドラダイトガーネット」が20%、「グロッシュラー」が80%の固溶体です。黄緑の鮮やかな色をしており、屈折率もサファイヤとルビーくらいで輝くので、今後人気が出そうです。
レインボーガーネット(グロッシュラー+アンドラダイト)
虹色に輝くガーネットです。七色に発色するのは、グロッシュラーとアンドラダイトの層が交互に重なるため。レインボーガーネットは、もとはメキシコのソノラで発見されましたが、現在はほぼ絶産です。その後2004年に、なんと日本の奈良県天川村で発見され、宝飾品としても流通しています。
ただ、メキシコ産は「グロッシュラー+アンドラダイト」ですが、奈良県天川村のものはアンドラダイトに近い元素組成で、成分は異なっているそうです。
このようにガーネットは多数の種類がありますが、近年に発見されたものも多いので、今後もっと増えていくかもしれませんね。また、ガーネットは美しく、硬度も高いので、楽しめる宝飾品もたくさん。1月生まれの人はラッキーでは?
誕生石が増えたことは、「アクセサリーの選択肢が増えた」「好きな宝石が入ったから嬉しい」というように歓迎の声が多く聞かれ、プラスの印象です。もちろん、もともと誕生石だった石も魅力があるからこそ、誕生石としての長い歴史を持っています。この改定をきっかけに、ガーネットのように改めて調べてみると新たな発見があって、より愛着がわくかもしれませんよ。