電波で見た天の川銀河の中心
この前衛絵画のようなものは、電波望遠鏡で観測された地球から約2万5000光年の距離にある、天の川銀河の中心ブラックホール「いて座A*(いてざえーすたー)」とその周辺領域です。
「いて座A*」は超大質量ブラックホールに分類され、太陽の400万倍という巨大な質量を持っていて、画像の中では明るいオレンジ色の領域として中心部に映っています。
地球からの撮影なので、当然銀河平面に対して水平に撮影されているもので、赤い血の斑点のように映っているものは強い電波源で、銀河中心を横切るように広がるこの領域は1400光年に及んでいます。
銀河のイメージイラストなどを見てもわかるように、銀河の中心には多くの星や物質(塵やガス)が集まっていて、可視波長では、その様子を見通すことはできない未知の領域です。
しかし電波波長の観測では、さまざまな天文現象が発する電波放射をとらえていて、この独特の異様な姿を見ることができるのです。
画像は6平方度(夜空に見える満月のサイズの30倍)の領域を200時間掛けて観測した20の別々のデータに基づいて作られています。
100メガピクセルのこの画像の生データは70テラバイトもあり、2台のスーパーコンピュータを使ってそれを処理しました。
もちろん電波に色はないので、電波の強度をどのように色分けするかによって画像の印象はだいぶ違ったものになるでしょうが、これが実際電波波長で見える現実の光景であることに違いはありません。
では電波波長の観測とはなんなのでしょう?