見えない地球内部構造の調査
地球は中心部まで約6371kmの距離があります。
このとてつもない距離を、ドリルで掘り進んで調べることはできないため、研究者たちは地震波の伝播の仕方などを通じて、地球の内部構造がどのようになっているかをずっと研究してきました。
こうした調査を経て、明らかになった地球の内部構造については、誰もが一度は目にしたことがあると思います。
地下70kmまでは岩石の地殻であり、そのさらに下の70~670kmまでが上部マントル、670km~2890kmまでが下部マントルとなっており、それよりさらに地下深くが地球のコアと呼ばれる構造になっています。
ちなみに人類が掘り進んで直接確認できている場所は地殻までです。
エベレストが約9kmの高さであることを考えれば、地球地下深くの調査がいかに困難なものであるかは想像がつくでしょう。
地球のコアは2層に分かれているとされており、2890km~5150kmまでが液状の外核、そのさらに内部の地球中心から半径約1220kmの部分が固体の内核だと言われています。
この内核について、理科の教科書などでは鉄とニッケルの合金だと説明されています。
ただ、内核が実際どのようなものであるかは、未だ多くの謎に包まれていて、正確には解明されていません。
地球内核が固体である可能性は1930年代に示されましたが、その後、地震波のデータからは内核が柔らかく、せん断波の速度が遅いことが示されています。
この結果は、地球の内核が鉄などの固体であると予想された場合と異なるため、内核が実際どのような状態であるかについては、研究者の間で意見が分かれているのです。
今回の研究チームは、地球の内核が軽元素を含んだ場合、固体でも液体でもない特殊な状態になるだろうという予想を述べています。
研究チームは、その状態を「超イオン状態」と表現しています。
この超イオン状態とは、一体どういった状態なのでしょうか?