地球に初めて飛来した星間天体
2014年1月8日にパプアニューギニア上空で1つの火球が確認されました。
火球というのは大気圏で燃え尽き爆散してしまう小さな隕石のことで、地球で観測される現象としては特に珍しいものではありません。
この火球についても後の分析で、直径はわずか0.45メートルしかなく地上に影響することもなく、上空で燃え尽きてしまったと報告されています。
しかし、この隕石には特筆すべき特徴がありました。
この隕石の速度は、時速21万kmを超えており、その速度は通常見られる太陽系内を周回する隕石からは大きく外れたものだったのです。
さらにその飛来した軌道も含めて分析した結果、この隕石は99%の確実性で、太陽系のはるか彼方、銀河の深部から飛来した星間天体である可能性が示されたのです。
この報告は、2019年ハーバード大学の二人の天文学者によって論文にまとめられ発表されました。
隕石自体の飛来は、地球上でも珍しいものではありません。
しかし星間天体となると話は別です。
隕石というと遠くの宇宙から飛んでくるようなイメージを持つ人が多いかもしれません。
けれど、地球で観測されたこれまでの小惑星、彗星、隕石はいずれも太陽系内の仲間たちなのです。
小惑星は主に火星と木星の間に存在する太陽系形成時の残骸のようなもので、はるか彼方の宇宙からやってくるということは通常ありません。
彗星は、主に地球から遠く離れた太陽系の外縁の、エッジワース・カイパーベルトやオールトの雲からやってきますが、それでもこの領域は太陽系圏内です。
つまり地球にやってくる隕石には、軌道や速度に範囲が存在するのです。
実のところ、これまで地球では太陽系外から飛来した天体というものはほとんど確認されていません。
他星系から星の海を渡って飛来する星間天体というものは、非常に珍しいのです。
これまでで唯一報告された星間天体は、「オウムアムア」だけです。
オウムアムアという小惑星は、天文学に興味がなくても、どこかしらで耳にしている人は多いでしょう。
何がそんなに特別なんだと思った人もいたかもしれませんが、オウムアムアが特別視される理由は、この小惑星が地球から初めて観測された星間天体である可能性が高いためです。
そして、このオウムアムアの発見が報告されたのは2017年のことです。
今回話題にしているパプアニューギニア上空の火球報告は2014年であるため、これが事実ならオウムアムア発見の3年も前に人類は初めての星間天体を観測していたということになるのです。
しかもオウムアムアは、地球に接近することもなく、現在は地球から離れるコースを取っています。
結局、望遠鏡でも詳細はよくわからないままどこかへ去ってしまう可能性が高そうです。
一方、パプアニューギニアの火球は地球に落下しています。
その可能性が示されているだけでも、十分重要な報告でしょう。
二人の研究者は、この重要な論文をプレプリンドサーバーで公開するとともに、天文学に関する科学雑誌『The Astrophysical Journal Letters」に提出しました。
しかし、その論文は査読を受けることもなく、提出から3年間ずっと放置されることになってしまったのです。
なぜそんなことになったのでしょうか?
それはこの論文の検証が、政府が管理する機密データで妨害されていたからだと関係者は語ります。
それだけ聞くと、人類初の星間天体について、一般には知られたらまずいことが米政府にあったのか? と勘ぐってしまいたくなります。
あなたが陰謀論者なら、やっぱり政府による情報の隠蔽はあるんだ! ロズウェル事件やエリア55は事実なんだと、にっこりしてしまうかもしれません。
では、実際、論文の査読が政府の情報で停止していた理由はなんなのでしょうか?