変異誘発剤は健康な細胞をがん化しなかった
変異誘発剤は理論上、がん細胞だけでなく健康な細胞に対しても変異を引き起こし、がん化させる可能性を秘めています。
また変異剤によって遺伝的に多様になったがん細胞集団は、似たような遺伝子を持ったがん細胞集団に比べて耐性を高める傾向があります。
以前のマウスを用いた研究によれば、紫外線によってがん細胞の変異を増加させたところ、がん細胞の遺伝子が多様化して、逆に免疫療法が効きにくくなってしまったことが示されています。
しかし研究者たちによれば、変異誘発剤による変異は紫外線による変異に比べてランダム性を低くできると述べています。
実際、マウスを用いた実験では変異誘発剤によって、がん細胞の変異が確認された一方で、新たな腫瘍がみられることはありませんでした。
研究者たちは今後、がん細胞に効果的に変異を起こす、より選択制の高い抗がん剤の開発を目指していく、とのこと。
薬剤による効果を「がん細胞で起こるDNA修復機能の阻害」にのみ特化させることができれば、健康な細胞に与える悪影響を最小限のものにできるでしょう。
免疫療法によって人類はがん細胞に対する攻撃力を獲得しました。
そして現在、がん細胞をターゲットする方法が次々に考案されています。
研究者たちは攻撃力とターゲティングが合わされば、がん細胞が「座っているアヒル」のように簡単に倒せるようになると述べています。