・人の脳はその体の大きさに比べると、驚くほど大きなサイズに進化している
・コンピューターシミュレーションの結果、厳しい環境への適応が脳の大型化を促したことがわかった
・「他者との協力」や「紛争」などの社会的な作用は、逆に脳のサイズを減らす方向へ働く
人の脳が体のサイズに比べてかなり大きなことをご存じでしたか?
体重が100キロを超えるゴリラでも、脳みそは約400グラム。人の脳は1200〜1400グラムであり、体重と脳の重さが比例していないことがわかります。
新たな研究で、人類の脳が大きくなるように進化した主要な要因は、厳しい環境へ対処するためだったことがわかりました。食べ物を探したり、火を起こすといった、環境への挑戦が私達の祖先の考えを進める能力を高めたのです。
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0127-x
300年前に地上を闊歩していた私達の先祖であるアウストラロピテクス・アファレンシスの脳と比べると、私達の脳は白質の量が3倍もあります。科学者たちは、この変化が起こった原因が社会的、環境的、あるいは栄養的なもののうちいずれであるか、といったことを長らく論じてきました。
スコットランドのセントアンドリュー大学の研究者たちは、数百万年に渡って脳がどのように発達したのかをシミュレートするため、数学的なソフトウェアを走らせました。このシミュレーションでは、成長や維持にかかるエネルギーコストを計算すると同時に、生存環境や社会的問題を解決する能力を算出することができます。
その結果、これまでの研究で理解されてきたこととは異なり、脳の「大きさ」を増やすのは「厳しい生存環境」といった要因だけであることが判明。また、驚くべきことに「他者との協力」や「対立」といった社会的な問題の効果は、脳を大きくするのではなく逆に小さくしていることがわかったのです。おそらく、社会的な問題が起こる背景にはすでに社会的な規範が存在しているため、問題解決を個々で考える必要がなく、その分だけ脳への負担を減らせたのではないかと考えられます。
このように「自然要因」と「文化的要因」が相まって今の大きさになった私たちの脳。これからも生存戦略の過程でその大きさを変えていくのかもしれません。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/2952
via: Mail Online/ translated & text by SENPAI
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