メガロドンの餌場がホオジロザメに奪われた?
本研究では、メガロドンを含む13種の絶滅したサメの歯と、水族館などに生息する20種の現生ザメの歯を集め、そこに含まれる亜鉛同位体比のデータベースを作成。
そして、メガロドンとホオジロザメの歯を比較したところ、非常に興味深い結果が得られています。
まず、出現初期のメガロドンとその祖先の歯を調べてみると、明確にそれぞれの食物連鎖の上位を占める、まさに頂点捕食者であったことが示されました。
ところが、鮮新世(約500万〜258万年前)初期のメガロドンでは、同時代に存在した、はるかに小さいはずのホオジロザメと栄養レベルが一緒だったのです。
これはメガロドンの栄養レベルが下がり、ホオジロザメの栄養レベルが上昇したことで起きた現象でした。
この結果を考えると「両種のサメの狩猟場がいくらか重なっており、資源を奪い合っていたことを示唆する」と、研究チームは指摘します。
さらに、メガロドンの栄養レベルが初期の頃から落ちていることは、つまり、ホオジロザメに餌資源の多くを奪われていた可能性が高いと推測できます。
もし得られる餌の量が両者同程度に落ち着いたとしても、体の大きいメガロドンはより多くの食料を必要としたはずです。
その直後にメガロドンが絶滅していることを考えると、巨大な体を持つ彼らにとって栄養レベルの低下はかなりの痛手だったと見られます。
もちろん、ホオジロザメだけがメガロドン絶滅の要因ではありません。
「メガロドンの絶滅には、気候変動や環境変化、生態系の崩壊など、複合的な要因によって引き起こされたと考えられる」と、研究チームは述べています。
しかし、ホオジロザメの勢いが、メガロドン衰退の一因になった可能性はかなり高いようです。