歯の化石から「食生活」を解き明かす
サメ自体は約4億年前から存在しますが、メガロドンが生きた時代は「新第三紀(約2300万〜258万年前)」に当たります。
新第三紀は、中新世(約2300万〜500万年前)と鮮新世(約500万〜258万年前)に分かれ、メガロドンは、鮮新世の中期(約360万年前)に絶滅しました。
メガロドンの絶滅については、気候変動や環境変化など、多くの要因が指摘されていますが、中でも”食生活と狩猟競争”に強いスポットが当たっています。
古代の生物の食生活は、歯の化石さえあれば、それほど難航せずに明らかにすることができます。
特に、骨格のほぼすべてが軟骨でできているサメの場合、歯の解析が何よりも肝心です。(軟骨は化石として残りにくい)
その仕組みは次のとおり。
まず、ある環境中に存在する同位体(原子番号が同じで、中性子の数が異なる原子)が、そこに生息する小さな生物に取り込まれます。
その小さな生物が大きな生物に食べられると、同位体が捕食者の大きな生物に吸収されます。
この吸収された同位体の一部は、食べた側の歯や骨に含まれるリン酸カルシウムと置き換わります。
こうした一連の流れを考慮すれば、歯に残った同位体の痕跡から生物の食生活を知ることができるのです。
しかし、メガロドンやホホジロザメの場合、彼らが何を食べていたのか正確にはわかっていません。
一方、古代の海洋哺乳類の歯や骨に含まれる「亜鉛」の同位体比を調べた研究によると、ある生物の栄養段階が高いほど(食物連鎖のピラミッドでその生物が上位にあるほど)、亜鉛の同位体比の値が低いことがわかっています。
これをヒントに、研究チームは今回、メガロドンとホオジロザメの歯に含まれる亜鉛を分析しました。