柔軟性のある「腱」の培養は難しい
近年、生物工学は急速に進歩しています。
最近では、人工培養したヒトの脳を乳児段階にまで生育させることに成功したほどです。
とはいえ、なかなか進展が見られない分野もあります。
その1つが腱(けん)の人工培養です。
腱は人間の筋肉と骨をつなぐ結合組織であり、あらゆる方向に伸びたり曲がったりできる特別な柔軟性をもちます。
しかし従来の静的な環境で培養した細胞には、そのような柔軟性が備わっていません。
最先端のバイオリアクターを利用しても、腱に期待される動きを再現できないのです。
では、柔軟性のある組織に成長させる方法はあるのでしょうか?
マウスリー氏ら研究チームは、外部刺激を与えつつ細胞を成長させる方法に目を付けました。