紙とインクでつくられた「紙電池」
電池は、正極または負極となる2種類の金属、電気の通り道である電解液、そして正極と負極の接触を防ぐセパレーターなどから成り立っています。
しかし従来の電池では、近年高まっている「使い捨て」の需要を十分に満たすことができていません。
そこでニューストロン氏ら研究チームは、「低コスト・高安全・低毒性」の新しいタイプの電池を開発することにしました。
彼らは、紙とインクに電池の成分を組み込むことで、使い捨ての条件を満たす「紙電池」を開発したのです。
まず、紙の片面には、正極として機能するグラファイトの粉末が含まれたインク(下図:Air cathode)が塗布されています。
そして裏面には、負極として機能する亜鉛の粉末が含まれたインク(下図:Zinc anode)が塗布されています。
また紙(下図:Paper membrane)には塩化ナトリウムが含まれており、ここに少量の水を垂らすことで溶解液がつくられます。
つまり、金属粉末を含んだインクが正極・負極に、塩水が電解液に、さらに紙自体がセパレーターの役割を担うことで、印刷されただけの紙が電池として働くのです。
紙電池の両端と電子機器を電線でつなぐなら、従来の電池と同じように電力を供給してくれます。
では、この紙電池にはどのようなメリットがあるのでしょうか?