水滴で活性化する「紙電池」が目覚まし時計に電力を供給する
紙電池のメリットの1つは、「水で活性化される」点にあります。
研究チームによると、「乾燥させたままであれば、非常に長い寿命をもつ可能性がある」ようです。
そして電池として利用したい場合は、わずかな水を垂らすだけです。
実験では、1セルの紙電池(上図の半分)を20秒以内に活性化させるのに、2滴の水を垂らすだけで十分でした。
1セルの電圧は1.2Vであり、約1時間にわたって安定して電力を供給できました。
1時間以降は紙が乾燥するにつれて、大幅に電圧が低下しましたが、さらに2滴の水を加えることで、0.5Vでもう1時間維持できたようです。
一般的なアルカリ乾電池の電圧が1.5Vであることを考えると、まずまずの性能だと言えるかもしれません。
ちなみに実験では、2セルバージョンの紙電池が、液晶ディスプレイ付きの小型目覚まし時計に必要な電力を供給できることも証明されました。
またこの紙電池の材料は生分解性があり安価なので、使い捨てデバイスにはピッタリだと言えます。
もちろん、紙電池の研究はまだ初期段階であり、いくつかの改善点が残っています。
実用化するためには、電力密度の低さや、水の蒸発における機能低下の問題を解決しなければいけないでしょう。
それでも十分な将来性があります。
商品やデバイスに付いているタグが実は紙電池であり、必要な電力を供給してくれる、という未来もあるのかもしれません。