テストで明らかになった「反科学な人々の科学知識」
最初に研究チームは、アメリカ人の成人3249名を対象に、科学知識に対する自己評価を調査しました。
参加者たちに、7つの科学テーマ(気候変動、遺伝子組み換え食品、原子力発電、ワクチン接種、進化、ビッグバン、ホメオパシー医学)のうち1つをランダムに割り当て、そのテーマに対する科学的コンセンサスを支持するか、反対するか尋ねました。
また、そのテーマについて、「なんとなく理解している」から「完全に理解している」まで7段階で評価してもらいました。
次に、参加者たちの科学知識を評価するために、ランダムな順番で出題される34問のテストを実施。
彼らは、「地球の中心は高温である」「すべての昆虫は8本足である」「電子は原子よりも小さい」「窒素は地球の大気の大部分を構成している」「太陽系でヘリウムが採取できるのは地球だけである」などの問題に、「真」か「偽」で回答しました。
その結果、与えられたテーマに関する科学的コンセンサスに反対する人ほど、そのテーマについて「完全に理解している」と主張する傾向があると判明。
しかし、それら科学的コンセンサスに反対する人ほど、科学知識のテストでは点数が悪くなる傾向にありました。
この結果について、ライト氏は次のように述べています。
「科学者は、私たちの周りの世界を説明するために常に議論しています。
しかし時には、非常に強力な証拠があったり、一貫性があったりして、特定の論題に対して科学者のほとんどが同意することがあります。
この科学的コンセンサスを強く拒む人たちは、自分の科学知識が最高レベルにあると信じていますが、実際には最低レベルにあるという事実を発見しました」
このことから研究チームは、「事実に基づく教育的介入は、科学的コンセンサスに強く反対する人に有効ではない」という結論に至りました。
例えば、ワクチンを接種するよう説得するために教育キャンペーンを実施したとしても、反ワクチンの思想を抱く個人は「自分はワクチンとウイルスについて完全に理解している」と感じているので、それらの教育に耳を傾けることはないのです。
もちろん、どんなことを信じるか、どんな知識を取り入れるか、どんな選択をするかは私たち個人に自由があります。
しかし、その結果は自身や周囲に大きな影響を与えるでしょう。
だからこそ、専門家たちの科学的コンセンサスとその根拠を理解しようと努め、より良い判断と決定にたどり着きたいものです。
記事中の科学知識テストの画像中にある問23の答えに誤りがあったため、修正して再送しております。