直接的な体重減少には繋がらないが、空腹感は減る?
本研究では、朝食と夕食の摂取量が「体重減少」と「空腹感」にどんな影響を与えるかを調べるため、健康ではあるが肥満気味の被験者30名を対象に実験を行いました。
被験者には、「多めの朝食と少なめの夕食」「少なめの朝食と多めの夕食」の2種類の食事セットをそれぞれ4週間続けてもらい、昼食の量は同じに設定してあります。
食事はすべて実験者が提供したので、被験者が消費したカロリーは正確に把握することができました。
また、被験者の1日の時間帯ごとの代謝レベルを測定し、消費カロリーもモニタリングしています。
チームは事前に、「多めの朝食と少なめの夕食」の方が1日の消費カロリーが増え、体重減少につながると予想しました。
ところが、実験の結果、2つの食事セットの間で、体重減少や消費カロリーの測定値に有意差は見られなかったのです。
また、1日の血糖値、インスリン、脂質のレベルにも差はありませんでした。
これらの血中因子の変化は、代謝レベルと関連しているため、体重減少を考える上で重要な指標です。
こうした結果を踏まえると、朝食を多めにし、夕食を少なめにしても、他の研究で指摘されているような、効率的な体重減少には繋がらないことが示されました。
しかし一方で、被験者の自己申告による「空腹感」には、2つの食事セットで変化がみられました。
具体的には、「多めの朝食と少なめの夕食」にした場合、1日を通して空腹感がより少なくなっており、「少なめの朝食と多めの夕食」にした場合、夕食までの空腹感が増大していたのです。
この効果は、空腹感をうまくコントロールして食べる量を減らすことができるため、減量を目指している人には有効と思われます。
たとえば、朝食をしっかり食べておけば、昼食を抑えめにしたり、余分な間食を防ぐことができるかもしれません。
他方で、研究チームは、今回の実験について「各食事セットを4週間しか続けていない点で限界がある」と述べています。
というのも、過去の研究では、食事パターンの効果の差は、4週目以降に最も顕著になってくると指摘されているからです。
そのため、「多めの朝食と少なめの夕食」をもっと長いスパンで継続すれば、「少なめの朝食と多めの夕食」との有意な差が現れる可能性もあります。
いずれにせよ、「多めの朝食と少なめの夕食」に変えただけで、体重がみるみるうちに減っていくことはないでしょう。
健康的に体重を落とすには、やはり食事だけでなく、適度な運動や質の良い睡眠がどうしても重要になってくるのです。
>研究チームは、今回の実験について「各食事セットを4週間しか続けていない点で限界がある」と述べています。
4週目以降もやらなければ無意味な実験。わかっているのになぜやらないのだろう?
いい研究なのにもったいない。