地球には今、20,000,000,000,000,000のアリがいる⁈
アリは現在、1万5700種以上が知られており、極地をのぞくほぼ全ての大陸に生息しています。
これまでのアリの総数の推定値は、その中の2〜3カ所で測定されたアリの個体密度から算出されたものでした。
しかし、今回の分析では、地球上の全体陸のさまざまな言語で書かれた先行研究を調べることで、より正確な推定値を目指しています。
研究チームは、ブルガリア語やインドネシア語などを含む、あらゆる言語圏のデータベースから1万2000件の報告書を調べ、アリの収集とカウントが十分に厳密である489件の論文を集め、分析しました。
これらの研究の大半は、アリそのものではなく、生物多様性や進化に関するより大きな問題に焦点を当てたものでしたが、その過程で、アリの標本採集や密度測定が精緻に行われています。
データ分析の結果、地球上にいるアリの総数は、20にゼロを15個つけた数、すなわち2京(けい)匹という推定値が導き出されました。
世界人口がもうすぐ80億人に達そうとしていますが、アリの数と比べたらそれはささやかな数字になってしまいます。
研究者によると、2京という数字は、これまでの推定値の最大20倍とのことです。
さらに、地球上のアリのバイオマス(生物量)を計算すると、約1200万トンという驚異的な数字が出ました。
これは、地球全体の野生鳥類が200万トン、ヒト以外の野生哺乳類が700万トンであることを考えると、どれほど恐ろしい数字かが想像できるでしょう。
ちなみに、ヒトのバイオマスは約6000万トンですから、アリのバイオマスは、ヒトの約20パーセントに相当します。
まさに「塵も積もれば山となる」を地で行く生き物です。
また、今回の研究では、環境ごとのアリの分布傾向も示されています。
それによると、熱帯地方におけるアリの個体密度が最も高く、反対に、ヒトの影響を強く受けている地域では、個体密度が低くなっていました。
研究主任のパトリック・シュルトハイス(Patrick Schultheiss)氏は「今後、環境変化や気候変動が、アリの個体密度にどれほどの影響を与えるかについて、重点的に調査を進める必要がある」と述べています。
というのもアリは、1ヘクタール(100m×100m)あたり、年間13トンもの土塊を移動させています。
したがって、アリは、土壌の栄養循環や植物の種の散布に決定的な役割を果たしており、生態系の維持に欠かせない存在なのです。
彼らの総数や分布傾向を理解することは、単なる好奇心以上に、重要なデータとなるでしょう。
多すぎ