リズム感がある人は「夜型」が多く「速足」で「握力が強い」
リズム感の高さと、他の個人的な特性はどのように関連するのか?
まず最初に明らかになったのは、リズム感と音楽的な能力が相関している事実でした。
音楽的な能力に恵まれている人のほうが、そうでない人に比べて、リズム感がある可能性が有意に高くなっていたのです。
また身体能力や認知能力との関係を遺伝子レベルで調べたところ、リズム感の高い人は呼吸能力を高め息切れの可能性が低くなるような遺伝子特性や、握力の向上、歩行ペースの高速化、脳の処理速度の高速化にかかわる遺伝特性を持っている傾向が高いことが判明します。
そのため研究者たちは、リズム感の高さや低さは、特定の身体及び認知の健康リスクと関係していると結論しています。
もしかしたら未来の健康保険では、リズム感が高いことを証明すれば、保険料が割り引かれる「リズム割り」のような制度が普及しているかもしれません。
ですがより興味深い結果は、体内時計の遺伝子との比較で明らかになりました。
私たちは個人ごとに体内時計の遺伝子を持っており、私たちが朝方か夜型なのか(あるいは中間なのか)は、遺伝子によって決められています。
またこれまでの研究によって、朝方の遺伝子を持つ人たちは、主な活動時間を朝にしたぼうが、より高い成果に結びつき、逆に夜型の遺伝子を持つ人たちは、主な活動時間を夜にしたほうが、より高い成果に結びつくことが知られています。
そこで研究者たちがリズム感が高い人たちの体内時計の遺伝子を調べたところ、驚いたことに夜型の遺伝子を持つ人が多く含まれていたことが判明します。
この結果は、ミュージシャンは夜型の人が多いという、他の研究結果と一致するものです。
また以前から、ミュージシャンの仕事時間は異様に夜間に偏っており、この偏りは単に夜間の仕事需要が多いというだけでは説明できないほど大きなものであることが知られていました。
そのため研究者たちは「リズム遺伝子の1つに夜型遺伝子が含まれている」という生物学的要因が、夜のコンサートを増やす一因になっている可能性があると述べています。
(※駆け出しバンド演奏者のアルバイトを調べると夜勤が多いという結果が出るかもしれません)
もし自分が明らかな夜型であると確信しているならば、暇なときに音楽活動をしてみてもいいでしょう。
意外な音楽的才能がみつかるかもしれません。
しかし、なぜリズム感を与える遺伝子に、身体能力や認知能力、さらには体内時計の遺伝子が含まれているのでしょうか?
そしてリズム感はどれくらい遺伝するものなのでしょうか?