リズム感も遺伝子によって与えられる才能の1つだった
私たち人間は、音楽を奏でるときだけでなく、スピーチや体の動きといったさまざまな項目においてリズムを非常に重要視しています。
優れたスピーチや洗練された体の動きには何らかのリズムが存在し、上手く使えば決定的な瞬間において人々を引き付ける効果を発揮します。
近年になって行われた研究では、幼児でさえもリズムに敏感であり、赤ちゃん言葉にも一定のリズムが刻まれていることが示されています。
またリズム感と他の人間の能力を比較した研究では、リズム感に優れている人ほど、読み書きのスキルが高く、認知機能や運動機能、社会的協調性に優れていることが判明しています。
しかし、リズム感がどのような遺伝子によって与えられているかは、多くが謎に包まれていました。
そこで今回、ヴァンダービルド大学の研究者たちは、60万人以上の被験者たちの、音楽に合わせて体を動かす能力(以下リズム感)の高さと遺伝子を調査し、リズム感がある人とない人ではどんな遺伝子に違いがあるかを調べることにしました。
具体的には、被験者たちに対して「音楽のリズムにあわせて手を合わせることができるか?」といった質問が行われ、YESと答えた人々とNOと答えた人々の遺伝子の違いが分析されました。
結果、69カ所の遺伝子領域において、リズム感にかかわる有意な差があることが判明します。
この結果は、リズム感が遺伝子が与える「才能」の1つであることを示します。
また特定された69カ所に含まれる遺伝子の役割を調べたところ、呼吸能力・運動能力・脳の処理速度・体内時計に関与する遺伝子が内包されていることが判明します。
そこで研究者たちは次に、リズム感が、これらの遺伝子とどのようにかかわるかを調べることにしました。
すると、非常に興味深い結果が明らかになりました。