世界最速の二足歩行ロボット「キャシー」
ダチョウ型ロボ「キャシー」は、2017年に開発されてから、飛躍的な進歩を遂げてきました。
実際2021年には、1回のバッテリー充電で、5kmのジョギングをわずか53分で完走。
これによって、キャシーに十分な持久力と信頼性が備わっていることが証明されました。
しかし研究チームは、この成果だけでは満足しなかったようです。
オレゴン州立大学(OSU)の大学院生デヴィン・クロウリー氏は、次の目標についてこのように述べていました。
「キャシーにはどのくらいの速さで走れるのか、という疑問が残っています。
そのため研究チームは、スピードに重点を置くようにしました」
もちろん、長距離走と短距離走では、求められる要素が大きく異なります。
チームはキャシーを100m走に最適化するため、特殊なシミュレーション・トレーニングを与えました。
並列化を利用したコンピューティング技術によって、1年分のシミュレーション・トレーニングを現実世界の1週間に圧縮し、「最速の二足歩行ロボット」になるよう効率的に訓練したのです。
ところが速度に特化させることで、二足歩行における「スタートとストップ」が非常に難しくなりました。
研究チームによると、「飛行機の離着陸が空を飛ぶことよりも難しいのと同じように、立った状態での発進と停止は、走っている段階よりも難しい」とのこと。
それでも「ハードウェアの設計」を改良し、それを制御する「高度な人工知能」との組み合わせによって、「発進と停止」課題をクリアできたようです。
そして2022年5月11日、キャシーは100mを24.73秒で走り、二足歩行ロボットの100m走 ギネス世界記録を樹立しました。
動画ではトラックを軽やかに走るキャシーが確認できます。
途中バランスを崩すこともありましたが、何とか持ち直し、転倒することなく走り続けることができました。
人間の世界記録には及びませんが、研究チームは「これから進歩が加速すると思います」と、今後の進展に期待しています。