フェアリーサークルは乾燥地帯で草木が生き残るための手段だった!?
土壌センサーによって、フェアリーサークルが十分に形成される前とされた後の両方の土の状態が観測されました。
周囲の草が十分に成長しきっていない状態では、降雨後、サークル内外の土の中の水分は両方とも非常にゆっくりと減少していきました。
ところが周囲の草が十分に生え揃った状態では、降雨後、土の中の水分は急速に減少していました。
フェアリーサークル内には水を吸収する草がないにも関わらず、周囲と同じように急速に水分がなくなっていたようです。
研究チームはこの結果について、次のようなプロセスが発生していると考えています。
降雨量が少ない地域では、草の根が降雨後の土の中の水分を即座に吸収。
そのため、サークル外の草の根周辺の土は乾燥した状態になります。
そしてサークル内の土の水分は、乾燥したサークル外部に引き寄せられていくのです。
つまり根の吸水と水の作用によって、サークル外の草がサークル内の水分を奪っており、サークル内では新しい草が育ちにくい状態になっていたのです。
研究チームは、「フェアリーサークルがサークル外の草を維持するための貯水池として役立っている」とも述べています。
これらの結果や推測は、フェアリーサークルの「自己組織化」説を支持するものとなりました。
乾燥した地域では絶えず水分が不足しており、本来は草木の安定した生育が困難です。
しかし、いくつかの要素が相互作用することで、時間の経過とともに安定した構造「フェアリーサークル」が生まれたのでしょう。
過酷な環境で生育する植物たちは、フェアリーサークルのような幾何学的模様に沿って成長する以外、生き残るチャンスがないとも言えますね。
もちろん、今回の研究でもフェアリーサークルの原理が完全に解明されたわけではありませんが、今のところ、自己組織化説が濃厚という結果になりました。