ダンベルをゆっくり降ろす動作を重視すると筋トレ効率がアップする
今回研究チームは、4つのグループにダンベルカール・トレーニングを5週間、週2回のペースで行ってもらい、それぞれ筋力や筋肥大にどのような差が生じるか検証しました。
4つのグループは、以下のようにトレーニングしました。
- ダンベルをゆっくり降ろす動作のみ(伸張性筋収縮のみ)
- ダンベルを上げる動作のみ(短縮性筋収縮のみ)
- ダンベルを上げ下げ両方(伸張性筋収縮と短縮性筋収縮の両方)
- 何もしない対象群
その結果、1~3のグループでは、重りを上げる力が向上していました。
つまり、どのようなトレーニングをしても、短縮性筋収縮での筋力は向上したのです。
しかし、ゆっくり降ろす力が向上したのは、「ゆっくり降ろす動作のみ」「両方」の2グループだけでした。
つまり、ダンベルを上げるだけのトレーニングでは、短縮性筋収縮での筋力は向上しますが、伸張性筋収縮での筋力は高まらなかったのです。
さらに、「ゆっくり降ろす動作のみ」グループは、「両方」グループの半分の運動回数だったにもかかわらず、2つのグループの筋力向上値は非常に似ていました。
また同じ条件でも、筋肥大の指標である「筋肉の厚さ」は、「ゆっくり降ろす動作のみ」グループは7.5%、「両方」グループは5.4%の増加がそれぞれ見られました。
この結果は、ダンベルをゆっくりと降ろすトレーニングがより効果的であることを示しています。
野坂氏も「伸張性筋収縮に重点を置いたトレーニングのメリットを理解することで、より効率的なトレーニングが可能になる」と述べています。
とはいえ、ダンベルをゆっくり降ろす動作を行うには、結局ダンベルを持ち上げなければいけません。
そこで野沢氏は、「両腕を使ってダンベルを持ち上げ、片方の腕だけを使ってダンベルをゆっくりと降ろす」方法を提案しています。
この方法であれば、ダンベルを上げるときの筋疲労を減らし、その分、ダンベルを降ろすときの負荷を高めることができるでしょう。
しかし今回の実験は、普段トレーニングしていない成人の二頭筋を対象にしたものであり、トレーニング歴や部位によって結果が異なる可能性もあります。
今後は、より広範囲で「重りをゆっくり降ろす」トレーニングの優位性が認められるか調査する必要があるでしょう。