「過去最大のTレックス」を推測する試み
2021年に行われたカリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の研究では、かつて地球上には25億頭ものTレックスが生息していたと推定されています。
しかし現時点で見つかっているTレックス成体の化石は、わずか32体しかありません。
その中で最も大きなTレックスは、「スコッティ」と命名されました。
スコッティは生前8870kgだったと推定されており、これは非常に大きなアフリカゾウと同等の体重です。
スコッティの記録だけでもTレックスが十分巨大な存在だったと分かりますね。
それでも発見された化石が少数であることを考えると、もっと大きな個体が存在していた可能性は十分あります。
そこでマロン氏ら研究チームは、「雌雄の差」に着目した1つの思考実験を行いました。
生物には、「性的二形(せいてきにけい)」という現象が見られます。
これは生殖器以外に雌雄の差をはっきり区別できるものを指し、主に体格や構造の違いとして現れます。
例えば、キジ科の一種「コウライキジ」のオスは、メスに比べて体が大きく、色や模様も異なります。
また大型のクモである「オオジョロウグモ」は、メスの体長がオスの3~5倍も大きくなります。
もしTレックスにも同様の性的二形が見られるなら、私たちの想像以上に巨大な個体が存在していたとしても不思議ではありません。