一人暮らしは「うつ病」の発症リスクを40%以上も高めていた
一人暮らしは「うつ病」の発症リスクを40%以上も高めていた / Credit: canva
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一人暮らしは「うつ病」の発症リスクを40%以上も高めていた

2022.11.30 Wednesday

私たちは今、新型コロナウイルスの流行とともに「孤独」の流行の真っ只中にいます。

現代社会は”一人暮らし”が当たり前になっており、独居世帯は数十年前に比べて大幅に増えています。

欧米諸国では現在、未婚や別居、離婚、死別を含め、3人に1人が一人暮らしをしているという。

一人暮らしによる孤独感は、以前から、心身の健康に悪影響を及ぼすことが指摘されていました。

中国・カン州市人民医院(Ganzhou People’s Hospital)は今回、一人暮らしと精神疾患の関連を調べた先行研究の大規模なメタ分析を実施。

その結果、一人暮らしは、パートナーや家族と暮らしている人々に比べ、うつ病の発症リスクが40%以上も高いことが判明したのです。

研究の詳細は、2022年8月30日付で学術誌『Frontiers in Psychiatry』に掲載されています。

Living Alone Increases Risk of Depression More Than 40% https://www.psychologytoday.com/us/blog/finding-new-home/202211/living-alone-increases-risk-depression-more-40
Assessment of the relationship between living alone and the risk of depression based on longitudinal studies: A systematic review and meta-analysis https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyt.2022.954857/full

一人暮らしの孤独感は「うつ病」を招きやすい?

心理学者によると、孤独(Loneliness)は「理想としていた人間関係と実際に達成された人間関係との間に乖離がある状態」を指すという。

また孤独には、知人や友人がいない「社会的孤独」と、知人はいても満足のいく親密な関係が築けない「感情的孤独」の2つがあるといいます。

こうした孤独感は、ソーシャルメディアの利用拡大や過剰支出の増加から、身体の健康(心臓病・脳卒中・糖尿病)および精神の健康(うつ病・感情調節の障害)の危険因子となることが指摘されていました。

そして、この孤独感を最も高めやすいのが「一人暮らし」です。

特にここ2〜3年はパンデミックの影響で、家族や友人、恋人がいる人でも一人で過ごす時間が増えており、孤独感を抱える人々の増加が懸念されています。

そこで本研究チームは、一人暮らしと精神疾患の関連性を調べるため、2022年5月までに発表された2056件の先行研究を集め、メタアナリシスを行いました。

一人暮らしは「うつ病」と関連する?
一人暮らしは「うつ病」と関連する? / Credit: canva

対象とされた被験者数は12万3859人(精神病歴なし)で、うち65%が女性でした。

データ分析の結果、一人暮らしは、複数人で暮らす場合と比較して、うつ病の発症リスクが42%も高いことが判明したのです。

特にその傾向は、女性よりも男性で、若い人よりも高齢者で、都市部よりも地方に住む人で顕著であることが分かりました。

では、なぜ一人暮らしをするとうつ病のリスクが高まるのでしょうか?

それには様々な原因が考えられますが、研究チームは「一人暮らしは、家族やパートナーと一緒に暮らしている人に比べ、経済状況が悪い、社会的接触や支援が少ない、生活習慣が乱れている、心身の健康状態が悪い」などの点を挙げています。

こうした要因はどれも、QOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)を低下させ、社会的孤立や孤独感が増幅し、うつ病の発症リスクを高めるものです。

またQOLの低下はうつ病だけでなく、心血管疾患や脳卒中、高血圧、ぜんそく、関節炎といった身体の健康問題の増加とつながることも先行研究から明らかになっています。

しかし一方で、一人暮らしの孤独感は、自助努力で十分に対処しうる問題です。

たとえば、生活習慣の改善や適度な運動によって基本となるQOLを高めたり、マインドフルネス(瞑想)を取り入れることで、孤立感にともなうストレスを軽減できます。

6カ月の瞑想トレーニングで「慢性的なストレス」は25%減少する!

孤独ゆえに感じるストレスは自覚しづらい面もあるかもしれません。

そのためダイエットや検定など達成できる目標を持ったり、ペットを飼うことで孤独感を払拭することが効果的です。

本物のペットを飼うことが難しければ、ロボットペットでも癒しの効果が得られるかもしれません。

一人暮らしがうつ病のリスクを高めるとはいえ、インドア生活の工夫次第で、一人時間も快適なものに変えられるでしょう。

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