スーパーコンピュータ・シミュレーションが宇宙の進化の過程を示す
現在の宇宙は神経線維の接続にも似た不思議な構造(「宇宙の大規模構造」と呼ばれる)をしています。
星や銀河が均等に広がっているのではなく、天体が存在しない領域(ボイド)と、銀河が集まっている領域に分かれているのです。
そして銀河が集まっている領域は細長い帯のように他の銀河の領域と繋がり、大規模な網目構造を形成しています。
しかし138億年前に宇宙が誕生したときには、この網目構造どころか、星や銀河の1つさえ存在しなかったはずです。
では、これらすべては、どのように形成されてきたのでしょうか?
世界の天文学者たちが参加する「CoDa:Cosmic Dawn(宇宙の夜明け)」プロジェクトでは、スーパーコンピュータを使用して銀河形成のシミュレーションを行ってきました。
そして今回は、その第3弾のプロジェクト「CoDaⅢ」の結果が報告されています。
研究チームによると、「CoDaⅢは、宇宙における放射線と物質の流れ、そしてそれらの複雑な相互作用を完全に考慮した初めてのシミュレーション」とのこと。
これを再現したアニメーションでは、宇宙の暗黒時代(ビックバンの30万年後~5億年後。光を放つ天体が存在しない時代)から銀河が形成される数十億年にわたる期間を表現しています。
下の動画は、そのアニメーションを高速化したものです。
研究チームによると、ビックバンから約1000万年後の時点でも、宇宙はまだ暗闇に包まれていたようです。
しかし1億年後には、ビックバンで残されたガスの小さな波紋が、水素ガス同士の凝集を引き起こしました。
その結果、最初の星と銀河を生み出す高密度領域(動画の白色)が形成されます。
そして星から放射された光(青色)が銀河の周りのガスを加熱し、物質が網目状に集まっていきます。
この宇宙の進化の過程では、いくつかの星が爆発して高温の領域(赤色)を作り出しているのも確認できました。
進化が進むにつれ、物資と星の光が複雑に絡み合い、現在の大規模な網目構造が形成されていますね。
元動画では宇宙の進化の過程をゆっくりと確認できるので、その壮大で複雑なイベントに思いを馳せてみてください。