2022年の動物ニュースBEST5!
第5位 カワイルカが「頂点捕食者のアナコンダ」で遊ぶ光景が目撃される
南米ボリビアのティジャムチ(Tijamuchi )川には、河川を泳ぐ淡水性の「ボリビアカワイルカ(Inia geoffrensis boliviensis)」が存在します。
今年4月に発表された研究によると、2021年8月に、2頭のボリビアカワイルカが頂点捕食者であるアナコンダを咥えて、まるでオモチャのように扱っている様子が発見されたのです。
彼らが口に咥えていたのは、ボリビアに生息する「ベニアナコンダ(Eunectes beniensis)」という種。
全長は約4メートル50センチ、体重は35キロほどに達し、生息圏の頂点捕食者として、誰も彼らに近づくことはできません。
そんなアナコンダを加えて、イルカたちは何をしていたのか?
研究者によると2つの説が有力で、一つは「アナコンダをおもちゃにした」という説、もう一つは「性的な好奇心を満たすため」という説です。
第4位 「最初に産んだ卵を捨てる」ペンギンの謎を解明!その理由が切実だった
ニュージーランドの孤島に生息する「シュレーターペンギン(学名:Eudyptes sclateri)」は、5日の間隔をあけて2つの卵を産み、1個目を捨てて、2個目だけを大事に育てるという奇妙な習性を持っています。
鳥にとって産卵は多大なエネルギーがかかるため、この行動は専門家にとって大きな謎でした。
今年10月、同国オタゴ大学(University of Otago)の研究チームは現地調査から、2個目の卵が1個目の卵より平均して85%も大きいことを発見。
さらにシュレーターペンギンの親は、沖合で採餌をするため、2羽分の十分な食料を持ち帰ることができませんでした。
このことから、サイズが大きくて抱卵(親鳥が卵を温めること)しやすい2個目の卵を繁殖に選んでいる可能性が示されました。
2個の卵を産む習性は、祖先からそのまま受け継いでいるものと考えられます。
シュレーターペンギンの夫婦は、2羽のヒナを同時には養えないことから泣く泣く小さな卵を捨てているようです。
第3位 カブトガニの「青い血」が医療分野で重宝される理由とは?
現代の医療分野では、カブトガニの血が重宝されているのをご存知でしょうか?
カブトガニの血は赤色でなく、淡い青色をしており、エンドトキシン(内毒素:細菌内に含まれる毒素)と反応することで、血球であるアメボサイト(変形細胞)が凝固して塊になる特殊な能力を持ちます。
エンドトキシンは、医薬品や医療機器に付着し、人体に入ると、発熱や敗血症性ショックを引き起こす恐れがあります。
そのため、注射器やペースメーカー、人工股関節といった滅菌医療機器に対しては、内毒素の汚染がないかどうか厳重にチェックしなければなりません。
なんとその検出能力を、太古の昔から存在するカブトガニが持っていたのです。
今のところ、内毒素を検出できる天然資源はカブトガニの血液だけだと言われています。
彼らの血は非常な高値がつき、血液1ガロン(約3.8リットル)あたり6万ドル(約810万円、2022年時点)になるという。
第2位 頭突きで対決する動物って脳とか大丈夫なの? 研究者「駄目みたいです」
ボクサーやアメフト選手は、絶えず頭部に衝撃が加わるため、脳損傷のリスクを抱えながら戦っています。
実際、脳損傷が原因で亡くなったり、引退後に麻痺や認知障害を患う選手も少なくありません。
では、頭突きで戦う動物たちは大丈夫なのでしょうか?
今年5月、米マウントサイナイ医科大学(Icahn School of Medicine at Mount Sinai)は、頭突き習性を持つ「ジャコウウシ(学名:Ovibos moschatus)」の脳を直接検証。
彼らの突進時の速度は時速50km以上に達します。
調査の結果、ジャコウウシの脳には「リン酸化したタウタンパク質」が特定のパターンで蓄積していることが判明しました。
このパターンは、アルツハイマー病患者や慢性外傷性脳症患者に見られる特徴です。
いくら頑丈とはいえ、やっぱり頭突きはダメみたいです。
第1位 シャチの「殺し屋コンビ」が南アのホオジロザメを次々と殺しまくっている
南アフリカ沿岸は、ホオジロザメの楽園として有名でした。
しかしその状況は、あるシャチの殺し屋コンビによってガラと変わり始めているのです。
今年6月の研究で、この殺し屋コンビは2017年以降、南アの同じ海域で少なくとも8頭のホオジロザメを惨殺し、他の多くのホオジロザメをよそへ追いやっていることが判明しました。
コンビの最大の特徴は、うち1頭の背びれが右側に曲がり、もう1頭の背びれが左側に曲がっていること。
そのことから地元民は、このコンビを「スターボード(Starboard=右舷)」と「ポート(Port=左舷)」の名前で呼んでいます。
彼らは2015年頃に同海域にやって来て、それ以来、近くの浜辺にホオジロザメの無残な死体がたびたび打ち上げられるようになったという。
コンビの殺しテクニックは群を抜いているようで、彼らの襲撃後は、恐れをなしたサメたちが数週間〜数カ月の間、同海域から姿を消しているのです。