ゴミ箱ロボットを使って「人とロボットの相互作用」を調べる
ヒューマンロボットインタラクション(HRI:Human–robot interaction)とは、人間とロボットがどのようにかかわるべきか研究する分野です。
例えば、小説家アイザック・アシモフ氏のSF小説に登場した「ロボット三原則(人間への安全性、命令への服従、自己防衛)」なども、この研究分野に含まれます。
現代ではAIやロボットが急速に進化し、人間と触れ合う機会も増えてきたため、「お互いにどのような影響を及ぼすのか」「どんな関わり方が適切か」などの問題を考えることは重要です。
Pepperのような人型のロボットなら、人間がどんな態度を取るかはある程度予想できます。しかし、もっと単純なロボットの場合、人はどんな関わり方をするでしょうか?
今回の研究では、シンプルな「ゴミ箱ロボット」に対して人々がどのような反応を示すのかという実験をしています。
このロボットは、ゴミ箱に車輪がついただけのもので、実際には自律したロボットではなく人間がカメラで監視しながら遠隔操作しています。
そして研究チームは、ゴミ箱ロボットをどのように操作したとき、人々の反応がどう変化するかを観察したのです。
この観察でまず最初に発見された面白い事実が、人々はロボットのオペレーターが不慣れで下手な操作をしたときほど、ロボットが自律的に動いていると勘違いした点です。
例えば、ロボットが立ち往生したり、障害物にぶつかったり、人々の声かけを無視しりしたとき、周囲の人にこのロボットをどう思うか聞いてみると「自律型に違いない」と答えるのです。
では人々は、こうしたぎこちないゴミ箱ロボットに対して、どんな態度を取ったのでしょうか?