イヌだけでなくネコ、オオカミの子でも実験
長く人間に飼われてきたイヌは、異種族である人間を見ても、真似をして学習する方法を獲得しています。
しかし、イヌが飼い主を見て真似による学習を行うのは、エサというご褒美があるためなのでしょうか?
イヌがご褒美をもらわなくても人間の真似をするかどうか調べるにあたり、研究チームはイヌ以外にも2種類の動物の子供について実験をしてみることにしました。
実験の対照動物として選ばれたのはネコとオオカミです。
この2種は、イヌが「人間と長く共存してきたから」真似をするのか、「高い社会性を持つから」真似をするのかを比較する上で非常に有効だと考えられています。
ネコはイヌと同じく家畜化の歴史が高い
イヌとネコは両方とも長い家畜化の歴史を持つ動物です。
イヌは人間が狩猟によって食料を得ていた約15000年前から、ネコは人間が農業を行うようになり穀物をネズミから守るために約6000年前から人間と行動を共にしていたとされています。
しかし、イエネコの祖先であるリビアヤマネコは群れを成さず単独で狩りを行う肉食動物です。
家畜化されているかどうかという点ではイヌとネコは共通していますが、社会性という点では全く異なっているのです。
オオカミはイヌと同様「群れでの社会性」を持つ
一方、イヌの祖先であるオオカミはイヌと同様に群れで生活し、群れの中では高い社会性を持ちます。
今回実験に用いられたオオカミの子は人間に育てられており、ある程度人間社会に慣れている個体ですが、人間に育てられたオオカミとイヌを比較しても、人間に対しての社会性は異なるという研究が多くあります。
人間に育てられていたとしてもオオカミという品種自体は「野生」でありイヌやネコのように「家畜化」はされていないのです。
このように、社会性の持ち方、家畜化の歴史などが異なるイヌ、ネコ、オオカミの子供たちはそれぞれ人間の行動に対し、どのような挙動をとったのでしょうか。