被災地の「止まり木」で休憩できる
新ドローンのもう1つの特徴とは、どんな場所にも着地し、休憩できるグリッパーです。
研究チームは、止まり木で休息する鳥から着想を得ました。
ドローンの下方には、開閉する「柔軟性のあるグリッパー」が備わっています。
このグリッパーには、衝撃で曲がり、空気圧で解放される材料が使用されています。
新型ソフトドローンは、これを利用して「つかむ」ようになっており、様々な形や大きさの物体を包み込めます。
動画ではドローンが素早く降下してパイプや角材に接触した途端、グリップがそれらを止まり木のようにつかんでいます。
またつかんだ後は、グリップがはがれることなく、ドローンは体勢を維持し続けられます。
さらにドローンが浮上し始めると、空気圧を利用してグリップが開放されるため、休憩から飛行へとスムーズに移行できます。
しかもこのグリップは双安定性を有しており、グリップが開いた状態と閉じた状態の両方で、エネルギーを消費しません。
つまりドローンがパイプや木材などの「止まり木」につかまっている間は、エネルギーを消費することがないのです。
これによりドローンは、目的地に移動した後、止まり木で電力を温存しながら、周囲を観察して生存者を探せます。
ひたすらホバリングしながら捜索する従来のドローンよりもはるかに省エネだと言えますね。
今後、捜索救助に特化したドローンが、1人でも多くの命を救うため、被災地で活躍するでしょう。
さらに研究チームは、今回のアイデアが、捜索救助だけでなく、森林火災の監視、軍事偵察の支援、さらには、惑星の表面探査などにも役立つと考えています。