赤ちゃんのウンチには1万種の未知のウイルスがいた
研究ではまず、赤ちゃんのウンチからウイルスが分離され、遺伝的な分析が行われました。
すると驚くべきことに、赤ちゃんのウンチには248科にわたる1万種を超えるウイルスが存在していることが判明します。
1歳時の腸内には1000種類の腸内細菌が住み着いていることが知られていましたが、ウイルスの多様性はその10倍に及んでいたのです。
さらに発見されたウイルス種のほとんど(248科中の232科)が、これまで報告されたことがない未知の種であり、既知のものは16科しかありませんでした。
(※新たに判明した232科の名前は研究に参加した赤ちゃんたちの名前から命名され、シルベスタ科、リグモア科、トリスタン科などが新設されました)
これらの結果は、現代科学が赤ちゃんの腸内ウイルスにかんしてほぼ「無知」であったことを示します。
また今回の研究で発見された1万種のウイルスを大人の糞便から発見されたウイルスと比較したところ、双方が共通して持つウイルスが800種に過ぎないことが判明します。
このことは、赤ちゃんたちの腸内ウイルスは大人とは大きく異なっており、成長過程で徐々に大人の腸内ウイルスに置き換わっていくことを示します。
研究者たちは、この置き換わりが腸内細菌の起き代わりと関連している可能性があると述べています。
これまでの研究により、赤ちゃんの腸内にはミルクの分解を助けてくれるビフィズス菌が大人に比べて遥かに優勢であることが知られているからです。
腸内に存在する菌が違えば、それを狙うファージウイルスの種類も違ってきます。
逆に大人の腸で最も多く含まれるクロスビラレス目のウイルスは、赤ちゃんの腸内にはあまりおらず、成長とともに徐々に優勢になっていくウイルスもいることがわかりました。
そうなると気になるってくるのが、腸内ウイルスが健康に与える影響です。