うっかり騙された10の疑似科学 後編
6. グアシャ(刮痧)
グアシャは、血液や気の循環をよくするために平らな板状の道具で皮膚を引っかく方法です。皮膚は長い、あるいは短いストロークで引っかかれ、標的となる場所の循環を良くし、血流を増やすと言われています。
グアシャは、蓄積された気エネルギーの滞りを壊し、再び動き出させることで炎症や慢性的な痛みを減らすことを目的とします。この治療で生じる印象的な闘病傷に備えましょう。患者には酷い痣や流血が残ることも珍しくありません。
もちろん、痛みを減らすために誰かからにわざと痣をつけられたり出血させられて、それにお金を払うなんて少し奇妙にみえるかもしれません。現在までに、グアシャの効果についての実験的研究は多くありません。
しかし、やってみる前にそのリスクを考えることは重要です。グアシャが皮膚を破る危険があるということは、同時に感染症の危険があるということです。血が出るということは、あなたの前に施術を受けた人も出血していたかもしれないのです。この治療法の実践的な注意点は、施術を始める前に、施術者がすべての道具を滅菌するか確かめることです。
7. 頭蓋仙骨療法
頭蓋仙骨療法(CST)は、頭蓋骨や仙骨の接合部を軽く持って、ほんのわずかに、分からないくらいに動かす療法です。この数分の施術が、脳や脊髄を覆っている、髄液の圧力と循環を変える能力が有ると一部に信じられています。
この療法の「創始者」であるジョン・アプレジャーは、CSTは異なる体組織の自然なリズムを使ってピンポイントに働くことで、問題を解決すると主張します。
この独特な介入に懐疑的な人はたくさんいます。彼らの論争の鍵は、髄液の圧力や循環を変えられるほど十分に頭蓋骨を肉体的に動かすことができないという事実です。
8.人相学
人相学は人相をみて未来を言い当てる技術です。流行がピークに達したのは、中世とルネッサンス期。人の額にあるシワを評価することでその性格を判断し、その未来を言い当てることができると考えられていました。
これは16世紀の数学者で占星術師のジェロラモ・カルダノによって生み出されました。伝説によると、彼は、生きて自身の占星術の預言が外れることが証明されるよりも、自ら75歳で餓死することを選んだと言います。
言うまでもないですが、人相学は本当のところ流行りませんでした。カルダノは800以上もの顔の図を使って研究しましたが、彼の新しい科学は彼の死後続くことはなかったといいます。いつの時代も、とんでもない疑似科学が流行るものです。
9. バイオリズム
一連のリズムを持った周期に人の生活が左右されると、バイオリズム理論は提唱しています。周期23日の身体周期、28日の感情周期、そして33日の知性周期の3つが最初に提唱されました。
おそらく、これらのサイクルが生活パフォーマンスに影響している可能性はあります。身体周期が低い時、ぎこちなかったり低い運動傾向を示すかもしれません。もし身体周期の低い日に体力テストが降り掛かった場合、あなたの身体周期がピークを迎える日に予定を変えてみるのが賢いかもしれません。
しかし数多くの実験により、統計的に意味のある結果はただのひとつもないことがわかっています。
10. カラーセラピー
カラーセラピーは7つのチャクラ(頭頂部、額、喉、心臓、太陽神経叢、仙骨、そして底部)と呼ばれる箇所を通して体にエネルギーが流れているという概念を元にしています。各チャクラは、特異な色と対応しています。それぞれ、紫、藍色、青、緑、黄色、オレンジ、そして赤です。
カラーセラピストは、チャクラの各領域間のバランスが、健康や幸福に絶対必要だと信じています。もし、チャクラがバランスを失うと、その結果、身体的、あるいは精神的な幸福がそこなわれるというのです。
完全な健康状態に戻すために、カラーセラピストはあなたに不足しているとされる色を活用します。基本的には、あるかなり強い光を患者に当てて、ぱっと消します。
こちらももちろん、科学的に効果が証明されたものではないわけですが、イヤーキャンドルやグアシャに比べると、リスクは少ないようです。
以上、10個の疑似科学をお送りいたしました。実践する方はいないとは思いますが、どの疑似科学も、正真正銘、本物のお医者さんと相談することなしに試すことのないようご注意ください。