記号は単語か、イメージか?
ウォータールー大学のブラッディ氏らの研究チームは、$や%などの記号が、単語として記憶されるのか、それともイメージとして記憶されるのかを検討しています。
研究チームは大学生128名を対象に、記号と単語、画像に関する記憶を調べる実験を行いました。
まず実験の刺激として、「dollar – $」のような単語と記号のペアが作成されました。
実験参加者は、記号のみを覚える人と、単語のみを覚える人の、2つのグループにランダムに分けられ、最後に覚えている記号(あるいは単語)を書き出してもらいました。
記号は単語よりも記憶しやすい
実験の結果、記号は単語よりも思い出すことができる単語の割合が約10%以上も高いことが判明しました。
しかし単語と記号の記憶のしやすさには相関関係が見られませんでした。
つまり覚えやすい単語には必ずしも覚えやすい記号が対応し、逆に覚えやすい記号にも必ずしも覚えやすい単語が対応するわけではありませんでした。
この結果は記号と単語の知識が、記憶成績を変えている可能性が低かったことを意味しています。
後続の実験2では、実験1で確認された記号が単語よりも覚えやすい現象が記憶のしやすさによるものなのか、思い出しやすさによるものなのかを調べるため、覚える時と思い出す時の情報の形態が一致している場合(単語-単語 / 記号-記号)と不一致の場合(単語-記号 / 記号-単語)で覚えやすさの現象に変化が起きるかを検討しました。
実験参加者は単語(あるいは記号)を覚えた後に、PC上に提示される単語(あるいは記号)に対し、覚えたものかどうかを判断してもらいました。
実験の結果、最初に情報を記憶する際に、記号で記憶した方が、単語で記憶するよりも、約30%多くの情報を記憶し、思い出すことができました。
これはつまり、記号は思い出しやすいのではなく、覚えやすい(記憶時に記号が単語よりも効率よく学習できる)ことによって生じる可能性を示唆しています。