コーヒーかすで耐久度が最大30%アップ!
チームはまず、豪メルボルン周辺にあるカフェから使用済みコーヒーかす(以下、SCGと表記)を回収し、実験室で完全乾燥(60°Cのオーブンで48時間)させて水分を取り除きました。
その後、SCGを酸素のない状態で350°Cまたは500°Cの2通りの温度で加熱処理し、バイオ炭を生成します。
次に「未加工のSCG」「350°Cで加熱したSCG」「500°Cで加熱したSCG」を細骨材(砂)の代替として、ポルトランドセメント(最も典型的なセメント)に配合し、コンクリートを作りました。
このとき、3種のSCGは5%、10%、15%、20%の体積割合で砂と置き換えられています。
![上:焙煎前と後のコーヒー豆、下:乾燥させたSCGとバイオ炭](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2023/08/news-coffeelifecycle-1220px-900x540.jpeg)
そして完成したコンクリートの圧縮強度(固体材料が壊れずに耐えられる圧力の限界)をテスト。
その結果、未加工のSCGと500°Cで加熱したSCGは置換レベルを増やすごとに、コンクリートの強度を弱めることが判明しました。
未加工のSCGは有機化合物が溶出してセメントの反応を阻害したこと、500°Cで加熱したSCGはバイオ炭が多孔質になりすぎたことが原因と見られています。
一方で、350°Cで加熱したSCGは5〜15%と置換レベルを増やすごとにコンクリートの強度が高まることが判明しました。
特に砂との置換レベルが15%のときに効果が最大化し、圧縮強度は29.3%も増加しています。
しかしそれ以上の置換レベルになると、強度が徐々に下がっていったとのことです。
![RMITの研究チーム](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2023/08/news-coffeeconcretesupport-1220px-900x540.jpeg)
試験はまだ初期段階だといいますが、チームは「コーヒーがどこにでもあることを踏まえると、世界中の建設材料にSCGが利用できる可能性がある」と述べました。
この技術が実用化されれば、SCGの埋め立てや天然砂の採集量を削減するとともに、環境保護や温暖化を緩和する役に立つと期待されます。
チームは次なるステップとして、SCGバイオ炭を工業レベルで生産するラインを整えながら、様々な業界と協力して、世界中での実用化を目指す予定です。
コーヒーかすは一般家庭からも得られるので、もしかしたら自宅をまわる回収屋さんも現れるかもしれませんね。