誰でもドクターオクトパスになれる?
ロボットアームによる人間の能力の拡張というアイデアは、長い間、フィクション作品の中だけの話に留まっていました。
アメコミの『スパイダーマン』に登場する宿敵・ドクターオクトパスなどはその最たる例です。
映画『スパイダーマン2』(2004)では、AIを搭載した4本のロボットアームを自身の脊髄に接続し、制御チップを介して自在に操作する姿が描かれていました。
こうした技術は現実の社会にとっても非常に魅力的であり、外科手術や災害現場での人命救助など、実現すれば大いに役立つと考えられます。
また一般人の私たちでも、大きな荷物を両手に持ったまま玄関のドアを開けるなど、日常生活で2本以上の手が欲しいシーンはいくらでもあるでしょう。
その実現のために多くの研究者が開発に取り組んでいますが、課題は高性能のロボットアームを完成させられるかどうかだけではありません。
研究主任でQMULの電子工学者であるエカテリーナ・イワノワ(Ekaterina Ivanova)氏が問題視するのは、ロボットアームをユーザーが自由自在に操作できるかどうかです。
ロボットアームの開発に成功したとしても、それを自分の腕と同じように扱えるまでに長い年月を要したり、熟練した技術が必要になると、社会への利益は小さくなります。
そこでイワノワ氏は、私たちがロボットアームを操作できる能力を検証することにしました。