精神科病棟に「救えたはずの命」はどれだけあるのか?
研究者らがここで「潜在的に回避できる死亡(Potentially avoidable deaths)」として定義しているのは、適切で効果的な医療介入によって防ぐことができる死亡のことであり、医療システムが十分に機能していれば発生するはずのないもののことです。
研究主任のプラムディー・グナラトネ(Pramudie Gunaratne)氏は「回避できる死亡の割合が高いことは懸念すべき事項であり、よりよい医療体制の構築が必要であることの証拠である」と述べています。
しかし一方で、精神科病棟において「潜在的に回避できる死亡」がどれくらいの割合で起こっているかは不明でした。
グナラトネ氏は「私たちは当初、ニューサウスウェールズ州における入院中の精神病患者の死亡率を他州と比較しようとしていたのですが、そもそも基準にできる死亡率が調べられていないことに驚きました」と話します。
そこで研究チームは、同州における精神科病棟での入院患者の死亡率と死因を詳しく調査することにしました。
精神科病棟での入院患者の死亡率を体系的に調べたのは、今回が初の試みとのことです。