単為生殖とは?
メスの卵細胞が受精せずに新しい個体となって生み出される単為生殖は、オスと交わることなく子を成すことから処女懐胎と呼ばれることもあります。
有性生殖の場合、卵などの生殖細胞は一度染色体数が半分になる「減数分裂」を経て、染色対数が半分の両親の細胞同士が接合することで、生まれてくる子は両親の遺伝子を引継いでいき、種族の中でも多様な遺伝子の個体が存在します。
単為生殖の生物は性交を必要せず、性交による遺伝子の交配が行われないので、母親の遺伝子のみを引き継ぐ形になります。
一口に「母親の遺伝子のみを引き継ぐ」といっても母親の細胞が減数分裂(染色体を半分にして生殖細胞を生成すること)せずにそのまま受け継がれるパターンと一旦減数分裂を行ってその中で接合するパターンがあります。
前者では子は母親と同じ遺伝子を持つクローンとなりますが、後者では言わば同一母個体の近親交配となるため、厳密に母親と同じ遺伝子を持つわけではありません。
しかしどちらにせよ、単為生殖の生き物は有性生殖と比べて遺伝子多様性に乏しいと言えます。
遺伝子多様性は種の存続に欠かせないものです。
生物は多様な遺伝子を持つ個体が環境に合わせて淘汰されていくことで、徐々に環境に適応していきます。
単為生殖の場合は遺伝子の多様性が乏しいため、大きな環境の変化によって絶滅してしまうケースも少なくないのです。
そんな中、ナナフシの仲間には単為生殖なのに百万年以上にわたり、生き抜いている種族がおり、彼らがどのように環境に適応していたのか謎に包まれていました。