有性生殖に単為生殖を組み合わせた昆虫たちの生き残り戦略
今回紹介したナナフシたちのようにほぼ単為生殖のみで子孫を残す生き物は非常に稀ですが「有性生殖だけでなく単為生殖もできる」という昆虫は多数います。
ミツバチ、スズメバチ、アリ、アブラムシなどは単為生殖でも増えることができる昆虫です。
昆虫以外にもアミメニシキヘビ、シチメンチョウ、シュモクザメなどあらゆる生き物で単為生殖の事例が報告されています。
昆虫の単為生殖は、生殖の合理性を目指したもので、季節など周囲の環境の過ごしやすさで単為生殖と有性生殖を切り替えるケースもあります。
例えばアブラムシは食べ物がたくさんある夏から秋にかけては単為生殖でどんどん個体数を増やしていきます。
やがて秋が深まってくると、雄が生まれるようになり、有性生殖を行って卵を産みますが、この卵は単為生殖のもののようにすぐに孵化することはなくそのまま冬を越します。
このようにアブラムシは単為生殖によって爆発的に繁殖して自らの遺伝子を広く散布し、その後有性生殖によって遺伝子多様性を得ているのです。
前述の通り、性交には捕食など様々なリスクがあり、オスとメス2匹がそろわなければいけないというハードルの高さもあります。
単純に数を増やしたいだけならば、単為生殖の方が効率的なのです。
ティマ属の単為生殖昆虫の例は単為生殖をメインとしたとても珍しいものですが、有性生殖と単為生殖をうまく組み合わせることで、繁殖効率と遺伝子多様性を両立している昆虫は意外にも身近にいるのですね。
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