既存の「抗凝固薬」でマウスのかゆみを遮断することに成功
黄色ブドウ球菌によって活性化されるたんぱく質「PAR1」は、血液凝固とも関連しています。
そのためチームは、抗凝固薬によるPAR1の遮断によって、湿疹のかゆみを軽減できるか確かめることにしました。
実験では、黄色ブドウ球菌に暴露されてかゆみを感じているマウスに、この抗凝固薬が投与されました。
その結果、マウスのかゆみは急速に減少し、かくことで生じる皮膚の損傷も軽減しました。
さらに、この薬を投与されたマウスは、ちょっとした刺激で強いかゆみを感じる「アロネーシス(痒覚過敏)」もなくなりました。
この抗凝固薬は、人間の血栓を防ぐ目的で、既に承認・使用されています。
そのため研究チームによると、この薬の有効成分は、新しいかゆみ止めクリームの基盤となる可能性を秘めているようです。
ちなみに彼らは、「黄色ブドウ球菌がかゆみを生じさせる理由」について、「引っかきを誘発することで、黄色ブドウ球菌が体の他の部位へと広がっていこうとしている」とも推測しています。
いずれにせよ、今回の新しい発見は、これまでアトピー性皮膚炎によって「終わりのないかゆみ」と戦ってきた人を救うものとなるかもしれません。